wonx/README
Hiroaki Sakai c0b964b4f4 Added dummy function of _asm_*().
Set FP_OFF ​(), FP_SEG() for the callback function at interrupt setting in WonderWitch
Adjust appropriately according to the setting method.  (Fit to wwterm)

UNIXTimer.c: UNIXTimer_Unpause()
((unix_timer -> pause == 1) && (unix_timer -> interrupt_in_pause == 0))
Fixed a bug that was not unix_timer-> pause--; when it was.
(It was not unposted when interrupt was not applied during pause)

Serial receive interrupt, keyboard interrupt added.  (corresponding to wwterm, operation confirmed)
Added UNIXSerialPort class.

With this, at WonderWitch,
com_intvector.callback = (void (near *) ()) FP_OFF ​​(com_handler);
com_intvector.cs = _ asm_inline ("\tmov \tax, cs");
com_intvector.ds = _ asm_inline ("\tmov \tax, ds");
sys_interrupt_set_hook (SYS_INT_RECEIVEREADY,
& com_intvector, & com_last_intvector);
Interrupt setting like that shown in Fig.

For warning, add WonX_Warning ().
Move WonX_Error () to WonX.c.

comm_send_string (), text_put_string (), text_put_substring () When executed
Fix output message.

Implement cursor display function.  (Add WWCursor class) (Do not blink. Display only)
When displaying the cursor, text information inside WWDisplay_DrawLCDPanel ()
Since we need to be able to read it, we will discontinue the WonXText class and add the WWText class
I moved to a member of the WWDisplay class.

In palette_get_color (), transparent color is displayed when executing WWPalette_GetMappedColors ()
Since it was not considered to be returned as -1, palette_get_color ()
Fixed a bug where return value was wrong value.

Character color palette, LCD color palette initial value, with WonderWitch
It was made to coincide with the initial value.

As a sample, add wwterm - b 05.  (Add wwterm target to Makefile)

Version 1.1 - from wonx-1.1.tar.gz
2018-03-07 23:07:04 +00:00

725 lines
25 KiB
Plaintext
Raw Blame History

This file contains ambiguous Unicode characters

This file contains Unicode characters that might be confused with other characters. If you think that this is intentional, you can safely ignore this warning. Use the Escape button to reveal them.

WonX - WonderWitch on X.
■ 配布に当たって
WonX はまだ不完全です.実装されていない機能や,不完全な機能,おかしな
動作をする部分などがいっぱいあります.
バグ情報やアドバイスがあれば,作者の坂井弘亮まで,どんどんメールください.
アドレスは,
sakai@seki.ee.kagu.sut.ac.jp
hsakai@pfu.co.jp
です.
また,坂井の気が向く限り,アップデートは随時行っていきます.
http://www.seki.ee.kagu.sut.ac.jp/~sakai/WonderWitch/index.html
で,随時公開していきます.
現在は坂井が一人で製作していますが,ひとりでは細かい点の整合性
(初期化しなかった場合の動作の違いなどWonderWitch と WonX では
微妙に異なっている)を追いきれないのが現状です.
とくにマニュアルに書いてない部分に関してはWonderWitch ではどのように
動作するのか,ひとりではチェックしきれません.(ていうか面倒)
情報をお待ち(ていうか期待)しています.
いっしょに少しずつ,完全なものに仕上げていきましょう.
ご意見,ご要望なども歓迎します.どしどしお寄せください.
(ただし,返事を書くとは限らないし,要望を反映するとも限りませんので
その点はご容赦ください)
■ はじめに
WonX はWonderWitch 用のプログラムを X アプリケーションとしてコンパイルする
ための,ライブラリです.以下の特徴があります.
・C言語レベルで互換機能を持っているのでWonderWitch 用のプログラムを
UNIX上でそのままコンパイルできる(-lwonx でコンパイルする)
・UNIX上でデバッガを使用してデバッグできるようになる(強力!)
・キャラクタデータやパレットデータのダンプ機能がある.
・不正な引数の値や,パレットやキャラクタを初期化しないで使用するなどを
厳しくチェックし,エラーを出力する(ようにする).厳しくエラーチェックする.
・使用できない機能(関数は用意してあるが,まだ実装してなかったり,
実装が困難だったりして,中身が空のもの)はたくさんある.
徐々に追加していくつもり.
・ゲームの画面写真が簡単に撮れる.(デジカメで撮ったり,画像取り込み用の
プログラムを使ったりする必要が無くなる) これはわりとべんり.
・エミュレータでなくライブラリであり,ソースコード公開しているので,
自由にカスタマイズが可能.
・描画速度は遅いが,デバッグ目的のためなので,速度を速くすることは
あまり考えていない.(それよりも上記のデバッグ性を優先する)
・WonderWitch 用のプログラムをX上で楽しむためのものではない
また,エミュレーションが目的なのではない.
あくまでデバッグ目的のもの.(そういうポリシーで開発を進める)
従ってWonderWitch での動作を模倣することよりも,デバッグ情報を
出力することや改造のしやすさを優先したような実装をする場合がある.
■ 3分WonX
とりあえず,どんなものか見てみたいことでしょう.そんな人は,
サンプルプログラムをコンパイル・実行してみましょう.
以下のようにしてみてください.
~>% tar xvzf wonx-x.x.tar.gz
(中略)
~>% cd wonx
~/wonx>% make sample1
(中略)
~/wonx>% ./sample1
ウインドウが開いて,標準出力にメッセージが出力されます.
スペース・バーを押すと,終了します.
~/wonx>% make sample2
(中略)
~/wonx>% ./sample2
カーソルキーの上下で,キャラクタを移動します.
スペース・バーを押すと,終了します.
~/wonx>% more sample1.c
~/wonx>% more sample2.c
で,サンプルプログラムのリストを見てみましょう.
次にWonderWitch 用のゲーム,"SpeedMac" をコンパイル・実行してみます.
~/wonx>% make smac
(中略)
~/wonx>% cd smac
~/wonx/smac>% ./smac
ウインドウが開いて,標準出力にメッセージが出力されます.
いったん p を押して画面描画を OFF にします.しばらくしたら
(メッセージの内容が変わったら) p を押して再び画面表示を ON にすると,
smac のタイトル画面が表示されます.
ここでスペースを押して,さらにまた p で画面表示を OFF にして,
しばらくしたら(メッセージの内容が変わったら) p で画面表示を ON にします.
どうですか? SpeedMac のゲーム画面が表示されているでしょうか?
カーソルキーで移動,スペースキーで射撃です.
ただし,キー入力はキー入力用関数が呼ばれたときしか有効ではないので,
キーは反応するまで長めに押してください.
p を押して頻繁に描画の ON, OFF を切替えるのは,描画が非常に遅いため,
ONのままだと画面クリアとかに異常に時間がかかるからです
最後にWonderWitch 用の端末エミュレータ "WWTerm" をコンパイル・実行
してみます.
~/wonx>% make wwterm
(中略)
~/wonx>% cd wwterm
~/wonx/smac>% ./terminal
■ 10分WonX
次に,なにかあなたが作った WonderWitch 用のプログラムを WonX 使って
コンパイル・リンクしてX Window System 上で動作するような実行形式を
作ってみましょう.
まずWonX を展開してmake してくださいlibwonx.a ができあがります.
~>% tar xvzf wonx-x.x.tar.gz
(中略)
~>% cd wonx
~/wonx>% make
(中略)
~/wonx>% ls libwonx.a
libwonx.a
~/wonx>%
次にlibwonx.a とwonx_include ディレクトリとsys2wonx.pl を
あなたの作ったプログラムのディレクトリ(ここでは例としてyoursample とします)
にコピーします.
~/wonx>% cp -R libwonx.a wonx_include sys2wonx.pl ../yoursample
~/wonx>% cd ../yoursample
~/yoursample>%
あなたの作ったプログラムのすべてのファイルをMS-DOS テキスト形式から
UNIX のテキスト形式に変換します.(つまり,改行コードを \r\n から \n に
変換して,漢字コードを SJIS から EUC に変換します)
~/yoursample>% cat makefile | qkc -I -O -e -u > makefile.new
~/yoursample>% mv makefile.new makefile
~/yoursample>% cat sample.c | qkc -I -O -e -u > sample.c.new
~/yoursample>% mv sample.c.new sample.c
...(以下すべてのファイルについて,同様に繰り返し.中略)...
*.C というファイル名のファイルがあったら,*.c に変更します.
(*.C だと C++ のプログラムだと思われてしまうので)
~/yoursample>% mv SAMPLE2.C sample2.c
makefile を以下のように修正する.
・コンパイラには gcc を使用する.
・オブジェクトファイルを *.obj から *.o に変更.
・コンパイルフラグに -I. -L. -L/usr/X11R6/lib -lwonx -lX11 -lXt を追加.
・mkfent などによる *.fx ファイルの作成などがあったら,コメントアウトする.
~/yoursample>% emacs makefile
おそらくmakefile の修正が2番目に面倒です.(一番面倒なのはWonX がうまく
適用できなかったときのソースの修正です)
添付の makefile_for_smac や makefile_for_wwterm を参考にしてmakefile を
修正してください.
次にsys2wonx.pl をかけて,プログラム中の #include <sys/disp.h> のようなのを,
#include "wonx_include/disp.h" に変更する.
(注意! sys2wonx.pl は,ファイルの本体を書き換えてしまうので,変更されると
困るようなファイルは必ずバックアップしてください.
#include <sys/disp.h> のような部分が無いファイルの場合だと,読み込んで
そのまま出力するので,ファイルの内容自体は変わらないと思いますが,
日付は変わってしまいます)
~/yoursample>% ./sys2wonx.pl *.[ch]
最後にmake をします.
~/yoursample>% make
うまくいけば,一撃でコンパイルが通って,実行できます.
~/yoursample>% ./sample
■ WonX 概要
WonX はWonderWitch の display_control() とか display_status() といった
関数(BIOS に対するシステムコール)と代替の関数を持っています.
これらの関数はX上にウインドウを開いてそこで WonderWitch と互換の動作を
するように書いてあります.
WonX を make するとlibwonx.a というライブラリができます.
WonderWitch 用のプログラムをUNIX 上で -lwonx してコンパイルしてやれば,
WonderWitch の display_control() とかのかわりにWonX の display_control() が
リンクされX 上で動作するようになる,という仕組みです.
■ ヘッダファイルについて
WonX はUNIXシステム上にある libc を使用します.つまり,/usr/include の
下を include します.
またWonderWitch にはsys/types.h などといったヘッダファイルがあります.
よってWonderWitch のヘッダファイル構成をそのまま WonX に引き継ぐと,
WonX のヘッダファイルと UNIX のヘッダファイルがコンフリクトする
可能性が出てきます.
(たとえばWonderWitch の sys/types.h と /usr/include/sys/types が
コンフリクトする,などです)
これはWonderWitch用のアプリケーションをコンパイルするときに要注意です
コンパイルがうまくとおらないという障害の原因は,ほとんどがこのような,
「ヘッダファイルのコンフリクトもしくは誤認」に起因しています.
対策としてWonX では wonx_include というディレクトリの下にヘッダファイルを
格納してあります.(本当は sys というディレクトリにしたかったが,
上記の対策のため,このようにした)
WonderWitch 用プログラム中の,
#include <sys/types.h>
のような部分は,すべて,
#include <wonx_include/types.h>
のように修正する必要があります.
(stdio.h や stdlib.h はUNIX システム付属のものを使用するので,
そのままでかまいません)
(ただし,コンフリクトしないという絶対の自信があるなら,この限りではありません)
WonderWitch のプログラムの,#include <sys/*.h> は,すべて
#include <wonx_include/*.h> に修正する必要がある,ということです.
(これをまとめて行うための perl スクリプトを添付してあります.
sys2wonx.pl *.[ch] を実行すると,ごっそりと書き換えてくれます)
またUNIXシステムによっては/usr/include/sys/types.h で ushort, ulong を
定義しているものといないものがあります.よって,コンパイル中に
ulong が2重定義されているとおこられる場合があります.
このあたりの微調整にはwonx_include 以下のファイルを直接修正して
調整してくださいwonx_include/system_configure.h を修正することにより,
調整できるようになってます.
■ WonX のコンパイル
まず WonX をコンパイルしてlibwonx.a を作成する必要があります.
WonX のコンパイルは,以下の手順で行います.
1. WonX を展開する.
~>% tar xvzf wonx-x.x.tar.gz
~>% cd wonx
~/wonx>%
2. WonX を make する.
~/wonx>% make
gcc -c WWCharacter.c -O -I. -I/usr/X11R6/include
gcc -c WWColorMap.c -O -I. -I/usr/X11R6/include
...(中略)...
gcc -c wonx.c -O -I. -I/usr/X11R6/include
ar ruc libwonx.a WWCharacter.o WWColorMap.o WWDisplay.o WWLCDPanel.o WWPalette.o WWScreen.o WWSprite.o WonXDisplay.o XDisplay.o disp.o text.o key.o system.o timer.o etc.o wonx.o
~/wonx>% ls lib*
libwonx.a
~/wonx>%
ここまでで,ライブラリの作成は終りです.
■ WonderWitch 用アプリケーションのコンパイル
次にWonX の利用の例として,拙作の SpeedMac という WonderWitch 用の
ゲームをコンパイルしてみます.
(SpeedMac はサンプルプログラムとしてWonX に標準添付してあります)
SpeedMac は WonderWitch 用のゲームプログラムです.本来は WonderWitch を
使用してコンパイルしWonderSwan 上でゲームを楽しむためのものです.
今回は例としてSpeedMac に WonX をリンクしてX 上で動作する SpeedMac の
実行形式を作成してみます.
1. 展開する.
~/wonx>% unzip smac-b02.zip
...(中略)...
~/wonx>% cd smac-b02
~/wonx/smac-b02>%
2. ヘッダファイルと libwonx.a をコピーする.
~/wonx/smac-b02>% cp -R ../wonx_include .
~/wonx/smac-b02>% cp ../libwonx.a .
~/wonx/smac-b02>%
3. makefile を修正する.
~/wonx/smac-b02>% emacs makefile
以下のように修正します.
・gcc でコンパイルをするように修正する.このときに,コンパイルオプションに,
-I. -L. -L/usr/X11R6/lib -lwonx -lX11 -lXt
を追加する.
(必要なら,-g も追加する)
・mkfent によるファイルのコンバートなどがあったら,削除する.
修正後の makefile を添付してあるので,面倒なかたは手で編集するかわりに,
~/wonx/smac-b02>% mv makefile makefile.orig
~/wonx/smac-b02>% cp ../makefile_for_smac ./makefile
のようにしてコピーしてください.
4. ソースを修正する.
~/wonx/smac-b02>% emacs chara.c
~/wonx/smac-b02>% emacs dsp.c
... (ファイルをひとつひとつ修正する)
ソース中の,
#include <sys/disp.h>
#include <sys/key.h>
のような部分を,
#include "wonx_include/disp.h"
#include "wonx_include/key.h"
のように修正します.
これをまとめてやるための perl スクリプト (sys2wonx.pl) を添付してあるので,
面倒なかたは,
~/wonx/smac-b02>% cp ../sys2wonx.pl .
~/wonx/smac-b02>% ./sys2wonx.pl *.[ch]
のようにしてください.
(sys2wonx.pl は,引数で指定したファイル自体を書き換えてしまうので注意)
5. make する.
~/wonx/smac-b02>% make
gcc -c chara.c -g -I.
gcc -c game.c -g -I.
...(中略)...
gcc -c main.c -g -I.
gcc -g -o smac chara.o game.o man.o mansub.o mansub2.o map.o mapsub.o menu.o monster.o picture.o player.o smac.o stage.o dsp.o etc.o main.o -lwonx -lX11 -lXt -L. -L/usr/X11R6/lib
~/wonx/smac-b02>% ls smac
smac
~/wonx/smac-b02>%
6. smac を起動する.
~/wonx/smac-b02>% ./smac
と,ここまでけっこう面倒ですが,実は,
~/wonx>% make smac
すると,これらの作業を全部やってくれるようになってます.
■ 操作
smac を起動すると,ウインドウが開きます.また,ターミナルには,
以下のデバッグ用の情報が表示されます.
・WonderWitch の代替関数が呼ばれると,引数と戻り値を表示します.
またここでは,以下の操作が行えます.
・カーソルキーがWonderSwan のX1X4ボタンに対応している
・i,j,k,l キーがWonderSwan のY1Y4ボタンに対応している
・スペースバーと左シフトキーがA,Bボタンに対応している
・sキーがSTARTボタンに対応している
・p を押すと,表示/非表示モードを切替える.
(非表示だと画面への描画を行わないが高速)
・F1 を押すとLCDカラーマップのデータをダンプ出力する
・F2 を押すと,パレットのデータをダンプ出力する.
・F3 を押すと,キャラクターのデータをダンプ出力する.
・F4 を押すと,スプライトのデータをダンプ出力する.
デフォルトではなにか関数が呼ばれるたびに画面の再描画を行うため,
非常に低速です.
たとえば,以下のようなことをやっていると,非常に低速になります.
/* 画面のクリア */
for (y = 0; y < 32; y++)
for (x = 0; x < 32; x++) {
screen_fill_char(0, x, y, 1, 1, 0); /* ここで毎回再描画される */
}
}
このような場合はp を押して非表示モードにして,ループ処理が終ったら
再び p を押して表示モードに戻してください.
F1 や F2 を押すと,データをダンプ出力するのですが,標準ではその他にも
メッセージが大量に出力されているので,ふつうに F1 を押しただけでは,
あっというまに大量のメッセージに流されてしまうことがあります.
このようなときは,以下のようにして起動します.たとえばコンパイルして
smac という実行形式ができているのなら,
> smac | grep -v call
もしもキャラクタ番号10番のキャラクタのデータだけが見たい場合には
以下のように実行してからF3 キーを押せば良いでしょう.
> smac | grep "character\[10\]"
WonX はメッセージを出力する際にgrep でフィルタリングできるように,
かならず出力メッセージの先頭に,統一性のある文字列を追加しています.
たとえば,関数呼び出し時に表示されるメッセージには,先頭に必ず
"call" という文字列が追加されてますよってgrep -v call を通せば,
関数呼び出しのメッセージがごっそり出なくなる,というようになってます.
標準では大量のメッセージが出てくるのでgrep をうまく使うようにしてください.
もしくは,
> smac | grep call > function_call.log
のようにして,ログをとるのも有効でしょう.
> smac > /dev/null
だと,文字列を kterm などに表示しないぶん,高速になります.
■ 足りないもの
以下のものにはまだ対応してません.したがって,例えばサウンド関連の
関数を呼び出しても,何も起こりません.(空の関数になっている)
・サウンド
・プロセス
・インダイレクトライブラリ
■ 注意しなければならないこと
WonX は,本来は WonderWitch 用として書かれた(もしくは,書かれる)プログラムを,
UNIX 上でコンパイル・リンクするためのライブラリであり,ハードウエアを
エミュレートするものではありません.
ですからWonderWitch と UNIX 上のC言語のギャップのため気をつけなければ
ならないことがいくつかあります.これらは WonX の性質上,仕方の無いことです.
以下のことは,意識することと,きれいなプログラムを書くことで,
かなり回避できると思います.(ビットマップ操作などでshort int にすべき
ところでは,省略せずにちゃんと short int と明示するとか)
まあWonX の目的は論理的なバグを早い段階で無くすことと,
論理的バグとハードがらみのバグを切り離して原因を狭めることと,
坂井が電車の中でも WonderWitch のプログラムを書けるようにすることにあるので,
このへんはそういうものだと割り切って使ってください.
WonX を使う限り,なるべく機種依存を無くすように心がけましょう.
(とくに int のサイズにあまり依存しないようにしましょう)
[コンパイルの問題]
先にも書きましたが,コンパイルできないという障害が出たら,原因はたいていは
ヘッダファイルのコンフリクトですとくにWonderWitch で sys 以下の
ファイルをインクルードしている場合は注意してください.
ushort, ulong などはsys/types.h で定義されているシステムもあるし,
そうでないシステムもありますこのへんはwonx_include/system_configure.h で
調整してください.
(FreeBSD では ushort のみ定義されているがRedHat Linux では,
uchort, ulong ともに定義されているので,そのままだとコンパイル中に
2重定義のワーニングが出ます)
[int 型の扱い]
WonderWitch では sizeof(short int) == sizeof(int) < sizeof(long int) ですが,
UNIX ではふつう sizeof(short int) < sizeof(int) == sizeof(long int) です.
このことはint 型を単なるカウンタとして使用するような場合には問題に
なりませんが,ビットマップの格納場所として使用するようなときには,
問題になります.
一番問題になりやすいのは,キャラクタのビットマップを扱う場合です.
font_set_colordata()などは16*8 バイトのキャラクタデータを
short int 型の配列として引数に持ちますWonderWitch では
sizeof(short int) == sizeof(int) なのでWonderWitch 用のプログラム上では,
キャラクタデータを short int とせずにint 型の配列として定義してしまう
ことが考えられます.(当然 WonderWitch ならば問題は無いがUNIX 上で
実行したら,キャラクタに妙な縞々が入るだろうと思われる)
このような場合にはUNIX 上でコンパイルするときにはshort int に
修正する必要があります.
[エンディアンの問題]
WonderWitch の CPU は x86系ですSPARC などで使用する場合には,
エンディアンに注意する必要があります.
font_set_colordata()などはshort int 型の配列でキャラクタデータを受け取る
のでchar * で定義したキャラクタデータを short int * にキャストして
font_set_colordata()に渡すなどのことをしていると,画像がひっくり返る
ことが考えられます.
i386 系のいわゆる PC-UNIX ならば,おそらく問題は無いでしょう.
[タイマ割り込みの問題]
WonderWitch にはタイマ割り込みがありますがWonX の動作は非常に遅いため,
WonderWitch の時間単位をそのまま UNIX に持ってきたら,割り込みが
かかりっぱなしになってしまいます.よってタイマ割り込みの時間単位は,
WonderWitch よりもかなり大きめにしてあります.
これはwonx_configure.h で調整できます.
割り込みハンドラの中で,非常に時間のかかる画面描画などをしている
場合には,割り込みの時間単位を大きくしてください.でないと,ハンドラから
戻った瞬間にまたハンドラが呼ばれて,全然実行が先に進まない,ということに
なり得ます.
[キー入力割り込み,シリアル受信割り込みの問題]
(あまりやることはないと思いますが)キー入力割り込みとキー入力検査用関数を
同一ループ内で併用すると,割り込みのとりこぼしが起きやすくなる可能性が
あります.
つまり,以下のようなプログラムを書くときには注意してください.
void far key_handler()
{
/* キー入力の処理がここに入る */
}
static intvector_t key_intvector;
static intvector_t key_last_intvector;
main()
{
key_intvector.callback = (void (near *)())FP_OFF(key_handler);
key_intvector.cs = _asm_inline("\tmov\tax,cs");
key_intvector.ds = _asm_inline("\tmov\tax,ds");
sys_interrupt_set_hook(SYS_INT_KEY, &key_intvector, &key_last_intvector);
while (1) {
/*
* キー入力割り込み待ちの状態なのにkey_press_check() でキー入力状態の
* 検査も行う
*/
key = key_press_check();
/* なんか適当な処理をこのへんで行ったりする */
}
}
キー入力割り込みを待ちながらkey_press_check() でキーの入力状態を
別個に検査する,ということをやると,割り込みのとりこぼしが起きる可能性が
あります.
(ただし,キー入力割り込みによって呼び出される割り込みハンドラ内で
key_press_check() を使用することは問題ありません.(でないと割り込みの
意味が無くなってしまうしね) あくまで,同じループ内で併用すると問題が
発生する可能性がある,ということです)
でも,こんなへんなプログラムあまり書くこと無いだろうし,いいかなと思ってます.
(これを直そうとすると,とてもたいへんなので)
このことは,シリアル受信割り込みに関しても,同様です.
[キー入力について]
キー入力は,キー入力用関数が呼ばれたときのみ感知するので,長めに押してないと
反応しないことがあります.
反応しないからといってなんども押すのでなく,1回を長く確実に押すように
してください.
[MS-DOS 形式ファイルの扱い]
MS-DOS 形式ファイルは,行末の改行コードが UNIX のテキストファイルと
異なるので,注意してください.*.[ch] ファイルの場合は問題無いのですが,
makefile は注意してください.
(UNIX のテキストファイルでは,改行は \n ですがMS-DOS では \r\n です)
例えばmakefile 中に,
gcc -g -o smac $(OBJS) -L. -L/usr/X11R6/lib -lwonx -lX11 -lXt
のような行があったとして,これが MS-DOS のテキスト形式のファイルだと,
-lXt のあとに余分な改行コード(\r)が付加されてしまうためUNIX 上で make
しても,「-lXt に相当するライブラリが無い」と怒られてしまいます.
(実際にはコンパイラは,-lXt\r だと思ってしまってlibXt\r.a というライブラリを
探してしまうのです)
(しかも,ファイルを emacs や less などで参照しても,改行コードは表示されない
ため,原因がわかりにくい)
また,
gcc -g -o smac $(OBJS) -lwonx -lX11 -lXt -L. -L/usr/X11R6/lib
のようにしていると,/usr/X11R6/lib を指定したつもりなのに,実際には
/usr/X11R6/lib\r というディレクトリが指定されたことになってしまい,
-lX11, -lXt の検索に失敗します.
漢字コードに関しても同じことがいえますUNIX での漢字コードは EUC なので,
ソースコード中に SJIS の漢字が入っていると,うまくコンパイルできなかったり,
make がうまく動作しなかったり,コンパイルできてもプログラム自体が
誤動作してしまい,しかも原因に気づきにくくなってしまう可能性があります.
makefile やソースコードは必ず,
> cat makefile | qkc -I -O -e -u > makefile.tmp
> mv makefile.tmp makefile
などを通してUNIXのテキストファイルに変換しましょう
[ファイル名の問題]
MS-DOS ではファイル名はすべて大文字ですがgcc では *.C のような
ファイル名のファイルは C++ で書かれていると判断されるため,
SAMPLE.C のような名前のファイルをコンパイルすると,うまくリンクできない
ことがあります.
このような場合はsample.c にリネームしてコンパイルしてください.
[シリアル通信について]
シリアル通信の受信用関数(comm_receive_char()等)はfgetc(stdin) から
入力文字を取得して,\n は \r に変換して返します.これは,一般的な通信回線上の
端末をエミュレートするためです.
またcomm_send_char() に渡した文字は,標準出力に出力されますが,
タブや改行コードは,"\t" "\n" のような文字列に変換されて出力されます.
添付の sout2str.pl を通すことにより,シリアル通信への出力のみ抽出して,
端末への出力のイメージで表示させることができます.
■ 割り込みについて
キー入力割り込みやシリアル受信割り込みなどはUNIXのアラームシグナルを
利用して実装しています.(一定時間おきにポーリングしている)
したがって,以下のようなプログラムもコンパイルして正常に動作させる
ことができます.
void far key_handler()
{
int key;
key = key_press_check();
/* キー入力の処理がここに入る */
}
/* シリアル受信の割り込みハンドラ */
void far com_handler()
{
int c;
c = comm_receive_char();
/* シリアル受信の処理がここに入る */
}
static intvector_t key_intvector;
static intvector_t key_last_intvector;
static intvector_t com_intvector;
static intvector_t com_last_intvector;
main()
{
key_intvector.callback = (void (near *)())FP_OFF(key_handler);
com_intvector.callback = (void (near *)())FP_OFF(com_handler);
key_intvector.cs = _asm_inline("\tmov\tax,cs");
key_intvector.ds = _asm_inline("\tmov\tax,ds");
com_intvector.cs = _asm_inline("\tmov\tax,cs");
com_intvector.ds = _asm_inline("\tmov\tax,ds");
sys_interrupt_set_hook(SYS_INT_KEY,
&key_intvector, &key_last_intvector);
sys_interrupt_set_hook(SYS_INT_RECEIVEREADY,
&com_intvector, &com_last_intvector);
while (1) {
/* 無限ループ.割り込みが入ったら,そのハンドラに飛ぶ */
}
}
_asm_inline() は常に0を返すダミー関数として定義されています
またFP_OFF(), FP_SEG() は,
#define FP_OFF(p) (p)
#define FP_SEG(p) (0)
のように定義されています.よって,上記のようなプログラムも WonX で
コンパイルして実行することができます.
このようにwhile (1) {} で無限ループを回して,割り込みがあったときだけ
処理するようなプログラムを書いても,正常に動作します.
しかし,キー入力はポーリングされているときしか感知されないので,
キー入力割り込みをかけるには,長めにキーを押してやる必要があります.
(キーは基本的に鈍いので,反応するまで長めに押してください)
■ ソース中の WonX 依存部分のくくりかた
WonderWitch 用のプログラムを開発していく際にWonX の場合のみ組み込みたくて,
WonderSwan 上で実行するときには取り除きたいコードがあったとします.
(例えば,デバッグ情報の出力のために printf() を入れる場合など)
このようなときのためにwonx_include/types.h で
#define _WONX_
してあるので,そのような場所は #ifdef _WONX_ でくくってください.
■ ダンプデータの取りかた
ソース中に,
#include "WonX.h"
#include "WonXDisplay.h"
#include "WWDisplay.h"
#include "WWColorMap.h"
#include "WWPalette.h"
#include "WWCharacter.h"
#include "WWSprite.h"
int i;
WWDisplay ww_display;
ww_display = WonXDisplay_GetWWDisplay(WonX_GetWonXDisplay());
WWColorMap_PrintData(WWDisplay_GetColorMap(ww_display), stdout);
for (i = 0; i < 16; i++)
WWPalette_PrintData(WWDisplay_GetPalette(ww_display, i), stdout);
for (i = 0; i < 512; i++)
WWCharacter_PrintData(WWDisplay_GetCharacter(ww_display, i), stdout);
for (i = 0; i < 128; i++)
WWSprite_PrintData(WWDisplay_GetSprite(ww_display, i), stdout);
のようなコードを挿入することにより,任意の場所でキャラクタやパレットの
ダンプデータを出力させることができます.
プログラム中に,不安な場所があったら,
#ifdef _WONX_
ww_display = WonXDisplay_GetWWDisplay(WonX_GetWonXDisplay());
printf("Before setting:\n");
WWSprite_PrintData(WWDisplay_GetSprite(ww_display, 0), stdout);
#endif /* _WONX_ */
/* ここにスプライトの設定についての不安なコードがある */
#ifdef _WONX_
printf("After setting:\n");
WWSprite_PrintData(WWDisplay_GetSprite(ww_display, 0), stdout);
#endif /* _WONX_ */
のようにして不安なコードの前後でダンプデータを取ると,デバッグに
役立つでしょう.
■ 作者
WonX は,坂井弘亮がその大部分を往復3時間の通勤電車の中で Libretto で書いた,
「電車ソフトウエア」ですGPLで配布します
作者については,添付の OMAKE.jpn を参照してください.
坂井弘亮の連絡先のメールアドレスは,
sakai@seki.ee.kagu.sut.ac.jp
hsakai@pfu.co.jp
です.また,本ソフトウエアの最新版を,
http://www.seki.ee.kagu.sut.ac.jp/~sakai/WonderWitch/index.html
で配布しています.
以下はミラーサイトです.
http://hp.vector.co.jp/authors/VA014157/index.html
http://www.people.or.jp/~hsakai/index.html
ミラーサイトは,坂井が気が向いたときにアップデートするので,常に最新,
というわけではありません.あくまでバックアップ用です.
■ このファイルはここまで